「キャラを動かすことができる作者は物語を成功させられる」という言葉を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?動くキャラ、つまり読者の頭の中で魅力的に映るキャラクターを作れれば、あなたは読者さんを物語という幻想世界へ連れ出すことに成功し、その体験を心に刻んでもらうことができるのです。
この言葉の真偽はさておいて、ラノベにおいて魅力的なキャラが物語を引っ張っていく原動力であることは確かなことでしょう。
そこで本記事では、魅力的なキャラを作るための5ステップを解説していきます。
この記事で学べること
・キャラクターの背景を深く掘り下げる方法
・独自性と魅力をキャラクターに持たせるテクニック
・キャラクターの成長と変化を魅力的に描く方法
ぜひ参考にしてみてください。
ステップ1:キャラクターの背景を深く掘り下げる
キャラクターの過去や動機は、彼らの行動を理解するポイントです。読者がキャラクターの内面に共感するためには、彼らの背景を豊かに描写することが重要になってきます。どのような過去・経験が彼らを今の姿にしたのか、その過程を丁寧に描き出しましょう。
キャラクターの過去を設定する
キャラクターの過去は、その行動や性格を形作る基礎です。幼少期の経験、家庭環境、ショッキングな出来事などを具体的に設定しておくことで、キャラクターに深みを与えることができます。読者がキャラクターの動機や行動を理解するための手掛かりとなるため、詳細な過去を設定しておくと良いでしょう。
社会的・文化的背景を考慮する
キャラクターが生きる世界の社会的、文化的背景を明確にすることも重要です。彼らがどのような環境で育ち、どのような価値観を持っているのかを示すことで、キャラクターの行動や決断に説得力を持たせることができます。
たとえば日本生まれ日本育ちのキャラクターが外国人の友人の部屋へ招かれた時、きっと彼は玄関で靴を脱いでから室内へ入って行くことでしょう。外国人の友人はそれを見て不思議そうに笑い、主人公は自分の行動がここでは誤りであったと気づき頭をかきます……といった風に、人間の行動や決断の材料には必ず背景が存在します。その後、彼が拳銃を構えなけばならなくなったとしても、引き金を絞るまでにかなりの葛藤が生まれることが予想されますよね。同じ日本で育った我々は彼の葛藤に痛いほど共感ができるし、彼の行動には説得力が自然と生まれてしまうのです。
背景をうまく描くことは、キャラクターの行動に説得力を持たせることができるのです。
内面的動機を探る
キャラクターの内面的な動機や欲求は、物語の中での発言・行動を理解する要素の一つです。彼らが何を望み、何に動かされているのかを深く探ることで、キャラクターの行動がよりリアルで共感を呼ぶものになります。
例えば「金儲けがしたい」と強く願っているキャラクターであれば、高時給のバイト先に片っ端から応募する姿がありありと想像できます。で、行く先々で様々なトラブルに遭いながらも、ギャグとセンスと能力で乗り切ってしまう……みたいな流れができますね。
さらに一歩踏み込んで、金儲けをしたい理由まで描ければ内面的な動機の補完はバッチリでしょう。
ステップ2:独自性と魅力を持たせる
キャラクターには、他とは異なる独自の特徴を持たせることが大切です。個性的な外見、話し方、行動パターンなどを通じて、キャラクターに独自性を持たせます。このステップでは、そのための具体的なテクニックをご紹介します。
個性的な特徴を設定する
キャラクターに独自の外見的特徴や話し方、癖などを設定することで、彼らを他のキャラクターと区別し、印象深い存在にすることができます。例えば、鶏やライオンみたいな髪型やミイラのような服装、特異な口調や言葉遣い(「あたくしとケンカすんのか……でございますの?」とか)を持たせることで、キャラクターの個性を際立たせます。これにより、読者はキャラクターを認識しやすくなります。
職業や趣味を活用する
キャラクターの職業や趣味も、その個性を形作る重要な要素です。彼らがどのような職に就き、何に情熱を注いでいるのか、どんな趣味を持っているのかを明確にすることで、キャラクターに深みとリアリティをもたらすことができます。例えば、珍しい職業や趣味を持つキャラクターを描くことで、読者の好奇心を刺激し、物語に色彩を加えることができます。
他とは違う特別な能力や特技
キャラクターに特別な能力や特技を持たせることで、物語に独特の魅力を加えることができます。これはファンタジーやSFジャンルにおいて特に効果的で、読者の好奇心を刺激し、物語に深みを加えます。超自然的な能力や、驚異的な技術、未知の知識など、キャラクターに独自のスキルセットを持たせることで、彼らの魅力を高め、物語をより引き立てることが可能です。
ステップ3:キャラクターの成長と変化を描く
物語の中でのキャラクターの進化は、読者に深い感動を与える要素です。彼らが直面する困難や試練を通じて、キャラクターがどのように成長し変わるのかを見せることで、読者はより深く物語に没頭するでしょう。
初期の弱点や欠点を設定する
キャラクターの成長の過程を描くためには、物語の初めに彼らの弱点や欠点を設定することが重要です。この弱点が物語の中でどのように克服され、成長につながるのかを描くことで、キャラクターの進化がより鮮明に感じられます。例えば、自信のなさ、過去のトラウマ、社会的な不利など、キャラクターが克服しなければならない障害を設定します。
試練や困難を経験させる
キャラクターが直面する試練や困難は、彼らの成長を促すカタリストとなります。これらの困難を通じて、キャラクターがどのように進化し、変化していくのかを描き出します。物語の中での重要な事件や、キャラクターに影響を与える他の人物との関係など、さまざまな形で試練を設定することができます。
成長の結果を示す
キャラクターの成長の結果を明確に示すことで、読者は物語の中でのキャラクターの変化を具体的に感じ取ることができます。これは物語の終盤に特に重要で、キャラクターの変化がどのように物語の結末に影響を与えるのかを示します。成長の過程を通じて、キャラクターが新たな自信を得たり、新しい視点を開拓したりする様子を描きます。
ステップ4:対話と関係性でキャラクターを活かす
キャラクターは、他の人物との関係性を通じて多面的に描かれます。対話や相互作用を通じて、キャラクター間の複雑な感情や関係性を探り、よりリアルな人物像を創造します。
対話を通じた性格の表現
キャラクターの対話を通じて、彼らの性格や感情を表現することが重要です。キャラクターの言葉遣い、口調、話し方は、その人物の性格や背景を反映します。また、対話を通じて他のキャラクターとの関係や、その場の状況への反応を描き出すことで、キャラクターの人格・正確を間接的に表現することが可能です。
これは『説明せずに性格を描く』というテクニックです。火災現場でまったく動じない人がいれば、単に冷静な人なんだなぁ……では終わりませんよね。火事に慣れているのか、元消防士なのか、それとも放火した張本人で茫然自失となっているのか……どれかはわかりませんが、読者に強烈な違和感を残すことを達成できているのです。
他のキャラクターとの関係性を描く
キャラクター間の関係性は、それぞれのキャラクターをより多面的に描くための重要な手段です。友情、ライバル関係、恋愛など、様々な関係性を通じてキャラクターの深みを探ります。これらの関係性は、キャラクターの動機や行動の背後にある理由を明らかにし、物語にリアリティをもたらします。
対立や協力の場面を設定する
キャラクター間の対立や協力の場面は、彼らの関係性をよりドラマチックに描き出す機会を提供します。これにより、キャラクターの性格や信念がより鮮明になり、物語に緊張感をもたらします。対立するキャラクター間の緊迫したシーンや、共通の目的のために協力する場面などを描くことで、ストーリーに大きな興奮を含ませられます。
ステップ5:キャラクターに感情を吹き込む
キャラクターに感情的な深みを与えることで、彼らは読者の記憶により強く残ります。喜び、悲しみ、恐怖、愛情など、多彩な感情を通じてキャラクターの内面を探ります。
内面的感情の描写
キャラクターの内面的な感情を詳細に描写することで、読者はキャラクターの感じていることをより深く理解することができます。喜び、悲しみ、恐怖、愛情など、様々な感情を通じてキャラクターの内面世界を探ります。例えば、重要な出来事に対するキャラクターの反応や、他のキャラクターとのやり取りにおける感情の変化を描き出します。
感情の変化を描く
物語の中でのキャラクターの感情の変化を描くことで、読者はキャラクターの成長や進化を感じ取ることができます。特に重要な出来事や転換点では、キャラクターの感情の変化を丁寧に描き出しましょう。そうすることで、物語の展開に合わせてキャラクターの内面が進化する様子を示し、読者の感情を引きつけられます。
感情的な瞬間を強調する
キャラクターの感情的な瞬間を強調することで、物語に深い感動をもたらすことができます。これらの瞬間は、読者がキャラクターに感情移入しやすくなるだけでなく、物語の中での重要なポイントとして機能します。物語のクライマックスや重要な転換点において、キャラクターの感情的な反応を詳細に描くことで、読者の記憶に残る強烈な印象を与えらるのです。
まとめ
魅力的なライトノベルのキャラクターの設定方法を解説しました。
キャラクターの背景の掘り下げ、独自性の付加、成長と変化の描写、関係性と対話を通じた活用、そして感情の吹き込みは、あなたのキャラクターをより躍動感ある人物にする重要な要素になります。
この記事が、少しでもあなたの創作活動の助けになれば光栄です。