私の小説って…どのジャンルに属するんだろう?
小説を書き始めたけれど、「私の小説はどのジャンルに当てはまるのだろう?」と疑問に思っている初心者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
自分の作品がどのジャンルに属するのかを理解していれば、作品の方向性を明確にし、読者に対しても適切なアプローチができるようになります。
そのため、”私の小説のジャンルis何”問題は、できるだけ解決しておきたいところです。
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小説ジャンルの基本と初心者小説家が知るべきこと
小説を書く上で、ジャンルの基本を理解することはとても大切です。ジャンルごとに特徴や読者層がまったく異なるため、ここを間違えていると狙った読者層に作品が読まれない・届かない恐れがあります。
たとえば、ファンタジー小説は、想像力豊かな世界や魔法のような非現実的な要素が魅力です。一方、ミステリー小説では、謎解きや犯罪の解明が中心になります。この例でジャンルを知らない場合、どうなるか。
頭を使い伏線を正確に読み取ることが好きな読者に、どかん!と派手でぶっとんだ爆炎が飛び交います。……これ、あなたの作品はちゃんと読んでもらえるでしょうか?(いいえ多分むり)
ジャンルを知ることで、自分の作品がどんな人に響くか、どんな展開や描写が必要かがわかります。これは、作品を魅力的にし、ターゲットとする読者に作品を届けるためにもとても重要なのです。
ジャンル選びの重要性
小説のジャンル選びは、その物語の方向性を決める大切なプロセスです。ジャンルによって、テーマやスタイル、登場人物の描写が大きく変わります。
例えば、恋愛小説は人間関係の深い描写が重要ですし、SF小説では科学技術や未来社会がクローズアップされます。適切なジャンルを選ぶことで、物語の可能性を最大限引き出し、読者に深い印象を与えることが可能です。また、どの出版社や文学賞に応募するか、どんな読者にアプローチするかなどの戦略も、ジャンル選びによって変わってきます。
ジャンルを決める目的は?
ジャンルを決める主な目的は、作品のアイデンティティを明確にし、適切な読者層に届けることです。ジャンルによって作品の魅力や興味を持つ読者は当然変わってきます。したがって、どのような読者に読んでもらいたいかを考えた上でジャンルを決定しましょう。
小説ジャンル一覧
小説のジャンルは多く、それぞれ独特の魅力と読者層があります。ジャンルを知ることで、自分の作品にぴったりのスタイルやテーマを見つけることができます。例えば、SF小説は未来や宇宙、科学技術を扱うジャンルです。ファンタジー小説では、魔法や異世界が舞台になります。
これらのジャンルを理解し、自分の作品に合ったジャンルを選ぶことが、あなたの小説をより多くの人に読んでもらうはじめの一歩になります。
SF小説
SF小説は、科学技術の進歩や未来の社会を描くジャンルです。宇宙旅行、タイムトラベル、人工知能など、現実ではありえないテーマを探求します。科学と想像力の融合により、読者を未来へ連れて行く作品群がSFです。
ファンタジー(幻想小説)
ファンタジー小説は、魔法や異世界が舞台の物語です。
ハイファンタジー(異世界ファンタジー)
ハイファンタジーは、完全に架空の世界を舞台にするファンタジー小説のサブジャンルです。独自の地理や歴史、文化を持つ異世界で物語が展開し、魔法や神話的な生き物が登場します。
ローファンタジー(現代ファンタジー)
ローファンタジーは、現実世界を基にしながらファンタジー要素を取り入れた小説です。現代社会や現実に近い環境で、魔法や超自然的な要素が存在します。
ライトノベル
ライトノベルは、若い読者をメインターゲットにしたジャンルで、読みやすくエンターテインメント性が高い内容が特徴です。多様なテーマやジャンルを取り入れ、軽快なストーリーテリングで読者を引き込みます。独特なキャラクター開発やダイナミックなプロットが魅力で、アニメやマンガとの相性も良いですね。特に若者に人気があり、現代的な感覚やトレンドを反映した作品が多いです。
コメディ小説
コメディ小説は、ユーモアと笑いを中心にしたジャンルです。風刺、皮肉、状況コメディを通じて、日常の出来事や人間関係を楽しく描きます。
ラブコメ
ラブコメ、または恋愛コメディは、恋愛をテーマにしたコメディ小説のサブジャンルです。恋愛にまつわるドタバタや誤解、キャラクター間の駆け引きをユーモラスに描きます。ラブコメは、楽しさとキュンとする感情を提供し、特に若い世代の読者に人気です。恋愛の甘酸っぱさとユーモアが融合したラブコメは、日常の恋愛観を楽しい形で反映しています。
推理小説・ミステリー小説
推理小説やミステリー小説は、謎解きや事件の解明を中心としたストーリーが特徴です。このジャンルの面白さは、読者が登場人物と一緒に謎や事件の真相を探る過程にあります。緻密なプロット、複雑な人間関係、予測不可能な展開が読者を魅了します。
イヤミス
イヤミスはミステリーのサブジャンルで、暗い雰囲気や重いテーマ、残酷な描写が特徴です。人間の闇や社会の矛盾を深く掘り下げ、強烈な印象を与えます。ただの謎解きを超え、物語の背後にある心理的・道徳的な問題を浮き彫りにするのが特徴です。
ホラー小説(怪談小説)
ホラー小説や怪談小説は、恐怖や不安をテーマにしたジャンルです。超自然的な現象、怪物、幽霊などを用いて恐怖感を煽ります。緊張感あふれるストーリーテリングと驚異的な展開が大きな魅力の一つでしょう。
恋愛小説
恋愛小説は、人間関係と感情の複雑さを中心に描かれます。愛の喜びと苦しみ、感情の微妙な変化をリアルに表現します。共感や感情移入を促し、恋愛の甘美さや切なさを伝えます。キャラクターの内面成長や関係の発展を重視し、読者に深い感動を与えることができます。
青春小説
青春小説は、若者の成長と自己発見を描くジャンルです。初恋、友情、家族関係、自己実現など、若者特有のテーマを扱います。キャラクターの心の動きや成長過程を繊細に描き出し、強い共感を呼び起ここします。青春時代の切なさや輝きを通じて、読者自身の若かりし日々を思い出させることもあります。
政治小説
政治小説は、政治的テーマや権力闘争、政治的陰謀を描くジャンルです。国家運営、政策決定のプロセス、政治家の個人的な野望や対立が主要な要素になります。実際の政治事件や理論に基づくフィクションも数多く出版されています。
歴史小説
歴史小説は、過去の出来事や時代背景に基づく物語を扱います。特定の歴史時期や事件、実在した人物を描き、ドラマチックに再現します。歴史小説は、過去の文化や社会、人々の生活を伝え、歴史への興味や理解を深めます。歴史的視点から人間の行動や決断を描き、普遍的な人間性や社会の本質に迫るのが特徴です。
時代小説
時代小説は、特定の歴史的時代を舞台にした歴史小説のサブジャンルです。侍や武士、江戸時代の町人など、その時代特有のキャラクターや生活様式が詳細に描かれます。時代小説は、過去の出来事や文化をリアルに再現し、その時代の社会背景や人々の生きざまを浮き彫りにします。読者は、歴史の一ページに足を踏み入れるような感覚を味わえ、過去の世界を実感することができます。また、現代にはない価値観や生活様式を通じて、新しい視点を提供するのも時代小説の魅力です。
児童文学
児童文学は、子どもたちが主な読者層の小説ジャンルです。子どもたちが理解しやすい言葉と物語で構成され、教育的な要素や道徳的なメッセージを含みます。冒険やファンタジー、家族や友情など、子どもたちが共感しやすいテーマを扱うことが多いです。
ヤングアダルト
ヤングアダルトは、10代の若者を主な読者層とするジャンルです。成長期特有の悩みや挑戦、恋愛や友情などを描きます。若者の視点で世界を捉え、彼らの感情や経験に共感を呼ぶ物語が特徴です。成長の過程での困難や喜びをリアルに描き、読者に勇気や希望を与えます。大人への移行期における自己発見や個性の確立がテーマになる印象が強いです。
純文学
純文学は、人間の内面や精神的な葛藤を深く掘り下げるジャンルです。美しい文体、象徴的なイメージ、複雑なキャラクター描写が特徴で、読者に感動や思索を促します。日常生活の中の微細な感情や、人間関係の繊細な変化を丁寧に描き出し、深い人間理解を追求します。社会や人間性の本質を探ることに重きを置き、読者に深い洞察を提供します。
大衆文学(エンタメ小説)
大衆文学、またはエンタメ小説は、幅広い読者層に楽しんでもらえるストーリーが特徴です。エキサイティングなプロット、魅力的なキャラクター、スピーディーな展開で読者を引き込みます。サスペンス、ロマンス、アクションなど様々なサブジャンルがあり、多彩なテーマを取り扱います。エンターテインメントとしての価値が高く、ストレスのない読書体験と楽しみを提供します。
官能小説
官能小説は、性的なテーマや情熱的な関係を描くジャンルです。人間の欲望や感情を率直かつ官能的に表現し、読者の感覚を刺激します。性的なシーンの描写だけでなく、登場人物の内面や情熱的な関係の複雑さにも焦点を当てていることが多いです。恋愛の物理的な側面と共に、情熱、欲望、愛の心理的側面を精緻に描き出しています。
どのジャンルとも違うような…?
ここまで小説のジャンルをご紹介してきました。さらに細分化させることもできるのでしょうが、それでもかなりのジャンル数になったことかと思います。
……ですが。中にはこういう読者の方もいらっしゃるのではないでしょうか?すなわち、
「私の小説、どのジャンルにも当てはまらないんですけど……?」
もし、心の中でそう呟いた読者さんがいらっしゃいましたら、その理由は大方以下の2パターンに分類されると思います。
複数ジャンルが混在している
一つ目は複数ジャンルが混ざっているパターンです。
簡単な例をあげてみましょう。たとえば「恋愛要素も含むが、SFの世界を舞台にしたコメディ小説である」とか、「異世界で時代小説作家になるチート主人公」などでしょうか。なんだか例の作り方がパワープレイすぎて悪魔合体みたくなっているのはご愛嬌で。
ともあれ、自分の小説が既存ジャンルのいずれにも当てはまらないという場合のほとんどは、このパターンだと想定されます。つまり、複数ジャンルを取り扱っているため、どれをメインジャンルにすべきかわからない状態のことです。
このような場合は、下の大見出し「決められない時は『本屋』を想像してみよう」にて、ジャンルの決め方を紹介しています。
新ジャンルの開拓者
二つ目のパターンは、正真正銘「新ジャンル」を生み出したパターンです。そのジャンルの第一人者でありパイオニア、そのジャンルはあなたの名字がついてもおかしくない……かもしれません!
もしあなたの小説が新ジャンルを開拓するような作品なら、筆者は声を大にして絶叫します。「すげぇ!」と。そしてX(旧Twitter)で日々恨み言のようにポストを繰り返します。「うちの読者さんが新ジャンル開発したんだぜ~!」って。まるで筆者の手柄のようにね。ふふふ。
冗談はさておき、あなたの小説が既存のジャンルに当てはまらないと感じるなら、それは創作活動における大きな強みとなります。特定のジャンルの枠に収まらない作品は、独自性と創造性が豊かな証拠です。そのような作者が手掛ける作品は、きっと読者たちに新たな読書体験をもたらしてくれるに違いありません。
決められない時は『本屋』を想像してみよう
いずれにせよ、小説のジャンルが決められない・わからないのは執筆活動をしていくうえでも悩みの種になりかねませんよね。
そこで本サイトでは、ジャンル決定に迷った際の最適解を提案したいと思います。
ずばり、自分の作品が本屋に並んでいると想像することです!
あなたの作品はどの棚に置かれていると思いますか?ファンタジーですか?ロマンスですか?それともミステリーの棚に陳列されていますか?
この想像をすることで、作品がどんな読者に向けられているか、どのジャンルの読者を引きつけたいかが自ずと見えてきます。そこで出てきた答えこそ、あなたがその小説に与えるべきジャンルということになります。なぜならあなたが作品を届けたい人は、きっとそのジャンルの棚の前に立っているはずですから。
また同時に、自分の本がどんな本と並んでいるか、どんな作家たちと同じカテゴリーに入りたいかを考えてみるのも良い手段でしょう。
どうしても納得がいかない時は
うーん、どうしても納得がいかない!
……と、自分の小説がどのジャンルにも完全には当てはまらないと感じたら、筆者はこう言うと思います。「それはもうあなたのジャンルだよ」と。
要するに、ジャンルに縛られずに作品を捉え、独自性を大切にすることも重要だと思うのです。何も既存に分類されるだけが小説ではありませんし、カテゴリの良さやジャンルの便利さはあなたの創造性を縮めてしまうためにあるわけではないでしょう。
だから、あなたはあなたの小説を書けばいい。あなたの人生から生まれた小説は、他の誰でもないあなたの物語なのだから。
……と筆者は思います!
ただし、ジャンル未分類はやはりデメリットもありますから、そこだけは念頭に置いておきましょう(例えば、陳列できないのでその他に置かれる、ネット小説ならPVがつかない=読まれないなど)。