ファンタジー小説の書き方とは?種類や設定のコツなどもご紹介します

小説

ファンタジー小説とは?

ファンタジー小説は、現実世界の枠を超えた魅力的な物語です。たとえば、魔法やドラゴンが存在する世界などを思い出してもらえるとわかりやすいでしょう。

要するにファンタジー小説は、日常とは異なる設定が特に特徴的です。この魅力こそが、ファンタジー小説の本質であり、読者の心を掴む要素です。

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ファンタジー小説の書き方

ファンタジー小説の書き方と題していますが、正しい書き方があるわけではありません。

しかし、執筆を始める前に、ふたつのポイントを押さえておくだけで、物語の方向性や展開を見失わずに筆を進めていく事が可能になります。

ここでは、そのふたつのポイントを解説していきます。

サブジャンルを決めよう

ファンタジー小説を書く上で、まずはサブジャンルを決めることが重要です。サブジャンルには、異世界転生や魔法学校など様々な種類があります。例えば、「ハリー・ポッター」は魔法学校を舞台にしたファンタジー小説です。サブジャンルを明確にすることで、物語の方向性が定まります。

身近な例で考えてみるとわかりやすいでしょう。例えになりますが、マトリョーシカを想像してみてください。そうですあれです、ロシアのおもちゃ……でしたよね?

マトリョーシカとは、人形の中にさらに小さな人形が座しており、その小さな人形の中にはもっと小さな人形が……といった具合に入れ子構造になっているおもちゃですよね。

この一番外側にある、一番大きなマトリョーシカがここでいう「ファンタジー」になります。つまり、それの中にある小さなマトリョーシカが「サブジャンル」ということになります。

ファンタジーという大きな枠組みの中で、どのような要素を主軸において展開させていくか。それだけでファンタジー小説というくくりにおいて、最大限のオリジナリティを発揮する事ができます。

詳細な設定を決めよう

ファンタジー小説の魅力は、独自の世界観にあります。世界観を構築するためには、詳細な設定が必要です。たとえば、「指輪物語」では、エルフやドワーフといった異種族の社会構造が詳細に描かれています。細かい設定が物語を豊かにし、読者を引き込む事ができます。

ただし、ここで重要なのは「作者側が知っておくべき設定である」という観点です。

人間は手をかけ、時間を使い、情熱を注いだものに対しておびただしいほどの愛着が湧いてしまう生き物です。つまりは、込み入った設定を作れば作るほど、緻密な伏線を張れば張るほど、それをストーリーの中で見せたくなってしまうのです。

ここが注意点。読者さんが読みたいのは設定資料集ではなく物語です。過度な設定の説明や解説をしたり、伏線を回収することを目的にしてしまうことで、ストーリーをないがしろにしないようにしなければなりません。

ファンタジー小説を書く時のコツ4選

ファンタジー小説を書く時には、いくつかのコツがあります。具体的には、

  • ストーリーに非現実を含める
  • スピード感を大事にしたバトルシーン
  • 設定を詰め込みすぎない
  • ご都合主義はNG

ひとつずつ解説していきます。

ストーリーには”非現実”を含める

ファンタジー小説の核心は「非現実」の要素にあります。この非現実性こそファンタジー小説がファンタジー小説である所以です。

例えば、普通の人間が魔法を使うシーンは、非現実的ながら魅力的です。逆に言えば、ファンタジー小説なのに会社に出勤するだけのサラリーマンを描いても仕方がありません。

非現実的な要素をうまく取り入れることで、ファンタジー小説は輝いていくのです。

バトルシーンに必要なのはスピード感

ファンタジー小説におけるバトルシーンでは、スピード感が重要です。激しい戦闘であればあるほど文章でもスピード感を大事にしていきましょう。

たとえば、「ゲーム・オブ・スローンズ」のように、迫力ある戦闘描写は、読者の緊張感を高めます。スピード感ある描写が、物語にダイナミズムをもたらします。

設定を詰め込み過ぎない

ファンタジー小説では、設定を詰め込み過ぎると物語が複雑になりすぎる可能性があります。

物語の流れを妨げない程度に設定を盛り込むことが大切です。例えば、世界観やルールを少しずつ明らかにする方法があります。適切な設定のバランスが、読みやすい物語を作ります。

ご都合主義はNG

ファンタジー小説において、ご都合主義の展開は避けるべきです。もっとも、ファンタジー小説でなくてもご都合主義は避けるべきですが、特にこのジャンルではよく見られる光景でしょう(特にネット小説では)。

たとえば、何の脈絡もなく、主人公が突然、無敵の力を手に入れるような展開は避けるべきです。そんなことをすれば、そこまでついてきてくれた読者も思わずため息をこぼしてしまうに違いありません。

物語のあらゆる局面には必ず因果が存在します。物語に一貫性を持たせ、キャラクターの成長や環境の変化に説得力を持たせる事が大切になってきます。

ファンタジー小説の種類

マトリョーシカの例でもあげたように、ファンタジーというジャンルの中で、展開や方向性を変えるだけで様々な姿を見せるのがファンタジー小説です。

ここでは、ファンタジー小説の種類を紹介します。

剣と魔法のファンタジー

剣と魔法のファンタジーは、ファンタジー小説の中でも特に人気のあるサブジャンルです。このジャンルは、魔法や剣闘の要素を取り入れた壮大な物語が特徴です。

例えば、「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズは、このサブジャンルの典型的な例です。魔法と冒険の組み合わせが、読者に夢中にさせる大きな要素になります。

異世界転生・転移ファンタジー

異世界転生・転移ファンタジーは、現実世界から異世界へとキャラクターが移動する物語です。このジャンルは、主人公が新しい世界で冒険を繰り広げることが多いです。

たとえば、「Re:ゼロから始める異世界生活」は、このサブジャンルの良い例です。

ほんの数年前までは、異世界転生・異世界転移は大人気のジャンルでしたが、2024年ではすっかり下火になっている印象です。流行り廃りの激しいジャンルではあるけれど、「こんな世界があったらな!」を一番表現しやすいのはここなので、一度は書いてみてもいいのではないかと思います。

ヒロイックファンタジー

ヒロイックファンタジーは、英雄的なキャラクターが冒険を繰り広げるジャンルです。このジャンルの物語は、勇敢なヒーローが悪に立ち向かう様子を描きます。

例えば、「コナン・ザ・バーバリアン」はヒロイックファンタジーの代表的な作品です。英雄譚はいつの時代でも愛される型でしょう。

エピックファンタジー

エピックファンタジーは、壮大なスケールの物語が特徴です。このサブジャンルは、複雑な世界観や長い時間軸を持つ物語が多いです。たとえば、「ゲーム・オブ・スローンズ」はエピックファンタジーの良い例です。壮大な物語と複雑なキャラクターの関係が、エピックファンタジーの魅力です。

ファンタジー小説の設定のコツ

では最後に、ファンタジー小説の設定を作る際のコツをいくつかご紹介します。

お約束は裏切らない

ファンタジー小説では、読者の期待する「お約束」を裏切らないことが重要です。たとえば、魔法使いは魔法を使い、ドラゴンは火を吐くなど、ジャンル特有の要素をしっかりと取り入れることが大切です。これらの要素が、ファンタジー小説の基盤を作っています。

もちろん絶対厳守ではありません。破りたい時には平然と破っていいとは思います。ただし、重要なのはその結果の説得力と意外性です。そうでなければ、ただお約束を衒った不思議なストーリーという印象を持ってしまいます。

レギュラーキャラには個性を

ファンタジー小説において、レギュラーキャラクターには鮮明な個性を持たせることが不可欠です。もっといえば、個性があるからこそ話が進んでいくといっても過言ではありません。先の見出しで紹介した『リゼロ』なんかも、主人公が死に戻る能力がなければ話はなにも発展しませんよね。

もちろん、能力という形以外で個性を持たせてもオッケーです。特殊な行動パターンをするだとか、家に入る時は靴の中に入り込んだ土を玄関に落としてから土足であがるとか、そういうクセの強さもスパイスのひとつでしょう。

ただし、むやみやたらに個性を付ければいい訳ではありません。ストーリーのプロットに即したような個性だとベストです。

異種族間での争い

ファンタジー小説では、異種族間の争いが効果的なドラマを生み出します。この争いは、物語に緊張感とダイナミズムをもたらします。たとえば、エルフとドワーフ、人間とオークのような異なる種族間の対立は、複雑で興味深い物語の展開になりやすいです。

絶対に設定したほうがいいという話ではありませんが、異種族間での争いは往々にして人間社会における対立が投影されがちだと筆者は思います。だからこそ人々は共感しやすいのかなと感じます。

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